
成人の体はおよそ 60%が水分です。高齢になると体に蓄えられる水分量が少なくなるため、個人差はありますが50%ぐらいまで低下してしまい、脱水症を起こしやすくなるのです。脱水症を予防するには、日頃からしっかり食事をとり、水分補給を心がけることです。体調の変化に気づいたら、早急に適切な対応をすることが大切です。
今回は、在宅チーム医療栄養管理研究会のメンバーが、多くの事例を積み上げ完成させた「水分摂取調査票」をご紹介します。また、在宅における栄養指導の経験をもとに、「食欲が低下したとき」「水分が十分に補給できなくなったとき」の対応法も教えていただきます。

「主食」+「一汁三菜」は、昔ながらの一般的な日本食の献立です。これを基本に1日3食で、約 1,400kcal のエネルギーと約 1,000ml の水分を補給することができます。
器の数が一つ二つと(食べる量が)少なくなれば、水分の摂取量も減少します。食が細く3食では必要量を食べきれない場合、間食の時間を設け、分けて食べるなど工夫をしましょう。それでも食べられない場合は、噛むことや飲み込むことに問題はないか早めに診断を受け、適切な治療・アドバイスをしてもらいましょう。
心臓病や腎臓病などで医師から水分制限をされている場合は、その指示に従いましょう。また、水分が体によいからと食事の量が減ってしまうほど飲めば、栄養分が不足します。緊急時は別ですが、普段はきとんと食事をとることです。1日の必要量をしっかり食べて低栄養を予防 し、間食や飲み物で不足分を補給して脱水症も予防 しましょう。

歳を重ねるにつれ「体力や感覚機能が低下する」「体内に蓄えられる水分量が減少する」ことなどは、個人差はありますが、いわゆる老化現象であり避けられないことです。ここで悩んだり見過ごすよりも、現実を受け止め、体調に合わせた食生活・生活習慣を見直すことが大切です。しっかり食べて、こまめに水分を補給することで、低栄養も脱水症も予防できるからです。
また、高齢になれば「歯や歯ぐきが弱くなる」「飲み込みにくくなる」こともあります。こうした食べる機能の低下を見過ごしてしまい、硬いものは食べない、むせやすいものは飲まないなどと、食事の内容が偏ったり、食事や飲み物の摂取量が減り、気がついたときには「低栄養」「脱水症」になり、入院しなければならないというケースは少なくありません。こうしたことも、食形態の工夫、口腔ケア、リハビリ、食環境を整える ことなどで解決できることが多いので、問題を感じる場合は、迷わず治療や指導を受けましょう。

1日の食事摂取量と食事以外の飲み物を記録しましょう。(次ページの「水分摂取調査票」で簡易チェックができます。)記録の推移と本人を観察することで、早期に低栄養及び脱水症を発見することができます。
体調の変化にいち早く気づくためには、「唇や舌、皮膚が乾燥している」「尿量が少ない」「微熱がある」「元気がない」「意識がもうろうとなる(せん妄)」などのサインを見逃さないことです。
ぐったりしているようなときはすぐに病院へ連れて行きましょう。早急に点滴を受けないと命の危険を招いてしまうことにもなりかねません。

在宅における栄養管理部門の確立に向け、医師、歯科医師、ケアマネジャー、管理栄養士など多職種により構成される研究会。
『スリーステップ栄養アセスメントを用いた在宅高齢者食事ケアガイド』(第一出版)は、
これまでの研究成果を一冊の本にまとめたもの。詳しくは、ホームページ http://www.teameiyo.com をご覧ください。