平成11年4月、高槻市市長の江村利雄さん(74歳)が、奥さんの介護に専念することを理由に辞任を表明し、話題を呼びました。江村さんの愛情を云々するよりも、仕事と介護は両立できない、それだけ介護は負担になるのだということを改めて感じさせる出来事でした。
介護は、時間の区切りもなく、終わりも見えないものです。 家族だけで頑張っても限界があります。
高齢者が夫や妻、親の面倒をみる「老老介護」では体力面だけでなく、場合によっては経済的な問題も生じてきます。また、一人の女性が夫と自分の親の両方を世話しなくてはならない「介護の多重化」状態となれば尚更です。
これは、介護される側にとっても決していい状態とはいえません。「寝たきり」ではなく、「起き上がる」「歩く」「美味しく食べる」といった人生を少しでも長く送るために、地域の支援が今、最も求められているのです。
けれども、今までの高齢者福祉制度は、主に低所得者を対象としていたため、大半の人は利用できずにいました。そこで登場するのが「介護保険制度」です。これは、「社会的支援システム」をきっちりと作って、介護を社会全体で担おうという考え方から生まれました。
平成12年4月、介護保険制度は施行されました。さまざまな問題を抱えながらのスタートです。例えば、温泉で宿泊施設が完成していなくても日帰りで利用できるなら、使いたい人は大勢いるはずです。ゴールは100。でも、30でも50でも0よりはずっと前進です。これからが肝心なのです。
そして何よりも大切なことは、この「介護保険制度」は、私たち自身が受けるサービスだということです。他人任せにせず、しっかり意見を持って参加する、それが私たちにできる「最初の一歩」ではないでしょうか。