たけうち先生の介護講座 事例研究<06>

慢性疾患で入退院を繰り返す 脱水症にも注意しよう

 百合子さん(仮名/70歳 女性)は7年前に夫に先立たれ一人暮らし。29歳のときに肺結核を発症し、左上葉肺切除。2年前に喘息と不整脈で医療センターに入院。その後も 入退院を繰り返し、現在も薬を服用。自律神経失調症。ADLは自立
 病院に月2回通院している。また、37度台の微熱が続くことがあり、食べられないことがある。 右片肺のため、居室の掃除などで心臓と肺に負担がかかる。配食サービスが入っている。
 本人は健康管理に気をつけ、可能な限り自宅で、訪ねてくれる友人たちとの交流を続けていきたいと希望。自宅で暮らすことが困難になったときには、ケアハウス等の入所を考えている。

 

ケアマネジャーのアセスメント

日常生活に支障あり。家事や食事の不安を抱えている。
通院関係・健康管理のサービスが必要。
訪問型のサービスは受け入れるが、通所型については体調不良などで否定的。
住民参加型サービス(会員制、有料の家事・介護サービス)の活用

 

水分補給介護保険の判定が「自立」でも、訪問看護で健康管理をしっかりしよう

 入退院を繰り返して、ふだんから微熱があり食欲が落ちることがある百合子さんは、典型的な脱水症を起こしているようです。水分が不足し、熱を体外に放出できず、体温をコントロールできなくなっているのです。脱水症を起こすと、肺の中の痰が粘り強くなってしまうためにうまく口外に出ず、肺炎を起こすこともあります。
 水分補給の量は、1日最低でも1,300ml〜1,500mlは必要といわれています。気温の高い日やデイサービスなどの外出で運動量が増えたり、入浴したときには発汗量が増えるので、水分も普段より多めに補給しましょう。脱水症状を起こしたらただちに水分補給を行わないと、2日目からは水を飲む元気すらなくなって、4〜5日後に亡くなる場合もあります。水を飲む元気がなくなった状態で発見した場合には、医療機関で点滴をしてもらう必要があります。 
  百合子さんの場合、微熱が続いている時点で水分補給をしっかりしていれば入院せずに済んだかも知れません。介護保険の判定が「自立」であれば、健康管理をするために医療保険で訪問看護を利用するとよいでしょう。日常の状態をきちんと観察してもらえ、一人暮らしであれば安否の確認もなります。

 

自立支援自分でできることを増やし、体力・気力を充実させよう

 百合子さんのように慢性の肺疾患のある人は、動こうとすると息が切れたり、動悸がするため、本人が動きたがらない傾向にあります。医学的にはもっと動けるはずなのに、自分でできる行動よりも活動量を抑えてしまうのです。そのため家の中でじっとしているようになり、次第にADL(日常生活動作)が落ちていきます。そこに必要以上の家事サービスが入ると、ますます自分で動かなくなってしまい、自立性が失われていきます。これは、慢性の心疾患のある人にもいえることです。
 そして、入院するとADLが極端に落ち、退院して何の対策もとらずに過ごしていると、さらに状態が悪化してまた入院するという悪循環に陥ってしまいます。慢性の経過をたどる病気では、必要な対策をとらずにいると寝たきりへの道をまっしぐらに進むことになってしまうのです。
 年をとると、様々な機能が低下していきます。しかし、全てを一人でできないまでもなるべく機能低下をさせないように自分でできることをしていくと、自分なりの生活を送ることができます。
 まず、自分ができることを工夫して少しずつ増やしてみてください。例えば、なぜ食事を作ることができないのかを医者やケアマネジャーと相談してみましょう。体力がなくなって立っていられないのならば、キッチンの前に腰かけるような台を作って調理するなど工夫をします。そして、不十分なところは配食サービスなどで補います。


 また、毎日予定がないと家でゴロゴロとしてしまいがちですし、家に閉じこもってばかりいると、何もしなくなり、機能が低下していくばかりです。人と交わって楽しめる時間があれば次第に意欲も出てきます。
 百合子さんのように介護保険で「自立」と判定された場合でも、老人クラブなどに参加できます。市町村によっては、住民参加型のふれあいデイサービス、機能回復訓練の為のリハビリ教室、会食会、趣味の教室など様々な活動を行っています。介護保険外のサービスをケアマネジャーや民生委員などと相談しながら探してみましょう。外に出かけるようになると、日々の生活にリズムができてきます。   

脱水症を見分ける



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