PureCommunications,Inc.
   介護レポート

 

Report04 ★成果目標と行動目標で“やる気”を引き出す 

取材協力★医療法人純正会 訪問看護ステーション太陽 愛知県名古屋市港区正保町7-103 

 

 直枝さん(83歳)は、誤嚥*性の肺炎が原因で入院しました。昨年末に退院したときには、誰かの手を借りなければ体の変えることさえできない状態でした。そのため、介護向きをの中心である娘さん(54歳)の負担は大きく、腰を痛めてしまいました。 

 退院後、訪問看護ステーション“太陽”のサービスが開始されました。“太陽”では、「成果目標」とそれを実現するための「行動目標」を立て、利用者のADL*の向上を図っています。直枝さんの成果目標は、つかまり立ちができるようになることです。そうなれば、おむつを現在のおむつカバー型からパンツ型にすることができ、さらにポータブルトイレも容易に使えるようになります。

 「つかまり立ち」を目指しての「行動目標」は、「少しずつ起きている時間を延ばすこと」としました。車イスに座ることから始め、わずか数ヵ月でベッドの横に自力で座っていられるようになりました。現在は、立ち上がったときに膝に負担がかかりすぎないよう、脚の筋肉を鍛えています。また、訓練や手先の練習なども行っています。その結果、誤嚥することもなく、ペンで自分の名前が書けるまでになりました。

 直枝さんは、入院する以前から寝たきりの状態でした。その頃は、家族に起こそうという発想もなく、手足の機能回復のための訓練があることすら知りませんでした。“太陽”の指導を受けてからは、毎日、親子でトレーニングを重ねています。その成果もあって、デイサービスに通えるまでに回復しました。娘さんの負担も軽くなっています。

 

 

今日は直枝さん宅へ。体温、血圧などのバイタルチェック後、関節の拘縮を予防したり、ストレッチをします。

 

 

 

 

立てるようになったときに腰が崩れてしまわないように、脚の訓練も行っています。

 

 病院の看護婦長や看護学校の教師を勤めた所長の加藤さんが、医療法人純正会の協力を得て、平成9年に開設したのが「訪問看護ステーション太陽」です。一人暮らしや老人世帯のために生活の管理が上手くいかず、寝たきりになったり、入退院を繰り返す人がかなり見受けられます。“太陽”では、利用者の生活環境に合わせた在宅看護サービスをトータルで提供し、在宅療養生活に不安がないように、安心を与え信頼を得られる看護を心がけています。

 “太陽”が目指すのは、利用者の自立を支援する「意味のある」訪問看護です。健康面の観察や機能回復訓練を行い、また次の訪問までに本人やご家族がすべきことや問題が起きたときの対応なども指導していきます。

 機能の回復には訓練の習慣化が大切です。そこで、まず最終的な目標となる「成果目標」を決め、次に毎日の訓練の目安となる「行動目標」を立てます。これらの目標は、無理強いにならないよう、利用者本人や家族と一緒に考えていきます。そして表を作って、行動目標ができたかどうかチェックできるようにします。そうすることで、本人や家族のやる気を引き出していくのです。

 さらに、訪問時に「訪問看護記録」(複写式)をつけ、各家庭にファイルしています。そこには、検査結果や服薬の状況なども一緒にとじてあるので、担当医や薬剤師と連携したトータルな指導を行うことができます。

 介護保険制度の導入で、利用者の負担は大きくなりました。しかし多少の訪問回数や時間の変更はあったものの、訪問看護を中止するケースはありませんでした。それは、“太陽”の活動(サービス)が利用者や家族の生活の一部となっているからでしょう。

 

 

 

 

壁に貼ってある嚥下訓練用の言葉を練習します。舌を動かす運動とセットにして、食事を行う前にも必らず行います。「パパパパ、タタタタ、カカカカ、ララララ、・・・・・」

 

 

 

 

 


手先の訓練用の手作り道具。フェルト製のおにぎりなどを土台にフォックでつけていきます。集中力が必要な作業です。

*誤嚥・・・胃に入るべきものが誤って肺に入ってしまうこと
*ADL・・・日常動作能力

Copyright by PureCommunications,Inc. 2000