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  介護レポート

 

Report06 ★「イイですね!」を支えに
              ゆとりのケアを目指す 

取材協力★松原訪問看護ステーション  岩手県陸前高田市高田町字中田69-2 

 

 3年前、埼玉県に出稼ぎに出ていた好助さん(現在66歳)が脳出血で倒れたという電話を受けた妻のミヨさんは、とるものもとりあえず、病院に急ぎました。2年9ヵ月の入院後、二人は陸前高田市の我が家に戻りました。好助さんには右片麻痺と失語症が残りました。帰宅してすぐに、松原訪問看護ステーションに依頼し、身体機能の回復に向けてのリハビリを始めました。ゆっくりとした歩みではありますが、今では少しずつことばが出るようになり、意思を伝えられるまでになりました。

 二人の1日はミヨさんの「気分はどうですか?」の問いかけから始まります。「ダメですね〜」という返事の日は無理はしません。「イイですね!」という答えのときは、ステーションの訪問看護婦に習ったミヨさんが、好助さんの手足の関節を動かします。次にベッドに腰かけて、端座位保持練習(自分で身体を支えて座る)を行います。そして車いすに移り、朝食をとります。天気のいい日は庭に出て、手足を洗ったり、爪を切ったりします。午後2時ごろまでは車いすを利用し、昼寝をして、就寝までの時間はベッドの上で過ごします。最近は「イイですね!」という返事の日が多くなったので、「夕食も車いすに移って食卓で食事をする」ことを目標に加えました。

 好助さんは、月曜と木曜はデイケアに通っています。家に戻ると、ミヨさんが「今日は、寂しかった?楽しかった?」と尋ねます。以前は「寂しかった」とうなずいていた好助さんも、最近は「楽しかった!」とことばで答え、笑顔もみせてくれるようになりました。

 そして火曜日と金曜日は、訪問看護の日です。デイケアでもリハビリのプログラムは組まれていますが、それだけでは家庭での実践になかなか結びつきません。バイタルチェック(血圧・体温・脈拍などのヘルスチェック)の後、全身の関節をほぐしてもらいます。麻痺していない左半身に力を入れて、腰上げ、寝返り、つかまり立ちと訓練は続きます。

 最後はポータブルトイレに移り、お腹に力を入れて排便します。入れ歯を入れてから食べられるものが増えて、食物繊維の多い食事がとれるようになり、水分もたっぷりと補っているので、立派な便が出るそうです。今は週2回くらいのペースで、摘便や浣腸にも頼りながらの排便です。

 また、好助さんは夜間によく尿が出ます。以前は夜中に2回、ミヨさんがおむつ交換をしていました。現在は看護指導で、夜間のみ、寝たままでも使える安楽尿器(管のついた尿器)を使うようにしています。ミヨさんは最初、この尿器をすすめられたとき、抵抗があり断ったそうです。しかし、実際に使ってみると、夫婦ともに快適な眠りにつけるようになりました。毎朝二人で尿器にたまった尿の量を確認し、それに見合うだけの水分をきちんと補給しています。また、日中できるだけ起きる生活をしているので、ミヨさんの介護にも余裕がでてきたそうです。

 

 松原訪問看護ステーションは、介護老人保健施設松原苑のなかにあります。ステーションの3人のスタッフ(保健婦1名 看護婦2名)のうち、所長の佐藤さんを含む2人がケアマネジャーの資格をもっていて、居宅介護支援事業者としても活動しています。ショートステイやデイケアの施設があるので、通所サービスと訪問サービスを組み立てやすいのが特長です。もちろん、市内の他の施設やヘルパーステーション、各要介護者の主治医とも連携をとっています。

 設備の面では比較的恵まれているので、細やかなサービスの面をより充実させていきたいと佐藤さんはいいます。それには、介護スタッフや家族がゆとりをもって要介護者に接することが最も大切です。新聞やテレビでは、ケアマネジャーはケアプラン作成で手一杯というニュースが度々流れていますが、ここでは市販のコンピュータソフトを使って、時間・経費をかけずにケアプランを作り、要介護者のもとに足を運ぶ時間を増やすようにしています。

 また講習会や勉強会にはできるだけ参加し、最新のよりよい知識や介護用品を実践にとり入れています。さらに、意見交換の場にも積極的に参加し、自分たちの実践事例を学会発表したりしています。

 ミヨさんのケースのように慣れない介護用品に抵抗を感じたり、ケアプランの内容や指導に難色を示す家族もいます。要介護者の生活の質の向上と家族の負担軽減につながる方法を、経済的な面も考慮しながら、サービスを受ける側が納得できる方向にもっていくのがケアマネジャーの腕の見せどころです。看護職という専門性を柱に、目の前のことに振り回されるのではなく、最善の状態にするためにはどのようなケアが最適かを考えながら、各々のケースに柔軟に対応しています。

  

       

 

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