
3年前、埼玉県に出稼ぎに出ていた好助さん(現在66歳)が脳出血で倒れたという電話を受けた妻のミヨさんは、とるものもとりあえず、病院に急ぎました。2年9ヵ月の入院後、二人は陸前高田市の我が家に戻りました。好助さんには右片麻痺と失語症が残りました。帰宅してすぐに、松原訪問看護ステーションに依頼し、身体機能の回復に向けてのリハビリを始めました。ゆっくりとした歩みではありますが、今では少しずつことばが出るようになり、意思を伝えられるまでになりました。
二人の1日はミヨさんの「気分はどうですか?」の問いかけから始まります。「ダメですね〜」という返事の日は無理はしません。「イイですね!」という答えのときは、ステーションの訪問看護婦に習ったミヨさんが、好助さんの手足の関節を動かします。次にベッドに腰かけて、端座位保持練習(自分で身体を支えて座る)を行います。そして車いすに移り、朝食をとります。天気のいい日は庭に出て、手足を洗ったり、爪を切ったりします。午後2時ごろまでは車いすを利用し、昼寝をして、就寝までの時間はベッドの上で過ごします。最近は「イイですね!」という返事の日が多くなったので、「夕食も車いすに移って食卓で食事をする」ことを目標に加えました。
好助さんは、月曜と木曜はデイケアに通っています。家に戻ると、ミヨさんが「今日は、寂しかった?楽しかった?」と尋ねます。以前は「寂しかった」とうなずいていた好助さんも、最近は「楽しかった!」とことばで答え、笑顔もみせてくれるようになりました。
そして火曜日と金曜日は、訪問看護の日です。デイケアでもリハビリのプログラムは組まれていますが、それだけでは家庭での実践になかなか結びつきません。バイタルチェック(血圧・体温・脈拍などのヘルスチェック)の後、全身の関節をほぐしてもらいます。麻痺していない左半身に力を入れて、腰上げ、寝返り、つかまり立ちと訓練は続きます。
最後はポータブルトイレに移り、お腹に力を入れて排便します。入れ歯を入れてから食べられるものが増えて、食物繊維の多い食事がとれるようになり、水分もたっぷりと補っているので、立派な便が出るそうです。今は週2回くらいのペースで、摘便や浣腸にも頼りながらの排便です。
また、好助さんは夜間によく尿が出ます。以前は夜中に2回、ミヨさんがおむつ交換をしていました。現在は看護指導で、夜間のみ、寝たままでも使える安楽尿器(管のついた尿器)を使うようにしています。ミヨさんは最初、この尿器をすすめられたとき、抵抗があり断ったそうです。しかし、実際に使ってみると、夫婦ともに快適な眠りにつけるようになりました。毎朝二人で尿器にたまった尿の量を確認し、それに見合うだけの水分をきちんと補給しています。また、日中できるだけ起きる生活をしているので、ミヨさんの介護にも余裕がでてきたそうです。