
電車の車掌をしていた宇佐美馨さん(70歳)は、50代の働き盛りに脳卒中で倒れました。左片麻痺が残り、車椅子での生活が始まりました。退院後は、保健センターで機能回復訓練を受け、定年まで、使える機能を最大限に生かして地域の作業場で活動していました。
馨さんは、奥さん、息子夫婦、孫二人の6人家族です。身の回りの世話は主に奥さんがしていましたが、2年前、体調を崩してしまいました。それを機に、馨さんは、奥さんへの気遣いからデイサービスを利用するなど、積極的に外に出る機会を増やしました。家族だけで馨さんの介護をすることは可能です。けれども、「家族それぞれが自分の時間をもつことが大切。外に出ることは、自分自身のリフレッシュと同時に、家族のリフレッシュにもなっている」と馨さんはいいます。
現在、潤生園のデイサービスを週2回、2泊3日のショートステイを月2回利用しています。馨さんの一番の楽しみは、四季折々のドライブです。城址公園やフラワーセンターなどに季節の花を見学に行きます。梅、桜、藤、菊と、花を愛でながら仲間との会話が弾みます。英気を養うかっこうの時間になっているそうです。
子どもたちが「行ってきます」と元気よく学校へ行くのは、そこに友達がいて楽しいからだと馨さんは思います。馨さんにとっての潤生園は、まさにその楽しい学校なのです。体操し、歌い、ときには習字もします。なによりも、様々な経験を重ねてきた仲間たちと語り合い、学び合う楽しみがあります。そして、信頼できる介護スタッフに見守られているという安心感があるのでしょう。
潤生園は、特別養護老人ホームをはじめ在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ、訪問入浴、配食サービスなどからなる高齢者総合福祉施設です。
デイサービスは、朝8時から10台の自動車を使って、介護スタッフが利用者の自宅へ向かうことから始まります。2回ほど往復し、1日およそ60人の利用者が集まります。ほぼ寝たきりの人でも、スタッフが寝室まで送迎してくれます。活動スペースは、レクレーションを楽しめる部屋、ゆっくりくつろげる部屋、ベッドが10台ある部屋の3つに分かれていて、その中を自由に行き来できるようになっています。疲れればベッドで横になることもできます。このように身体の状態に応じた、きめ細かいサービスを行っています。
午前中は、主に入浴の時間です。その合間に、水分補給を兼ねたおやつが出ます。プリン、コーヒーゼリー、フルーツゼリーなどを日替わりで用意し、飲み物は、温かいお茶か冷たいお茶を選べるようにしています。

冷たいお茶はグラスで運ばれ、目の前で握りやすいプラスチックのカップに移してもらいます。
馨さんは左手が不自由なので、お盆の上には滑り止めのネットが敷かれています。