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   介護レポート

 

Report 20  ★生活の中で行う実践栄養指導 

取材協力★福寿会福岡クリニック 東京都足立区梅田7-18-11 

 

 東京都足立区にある福岡クリニックは1階が外来、2階が訪問看護ステーション、3階にデイサービスセンター、4階には在宅部があります。また、近くには系列の介護老人保健施設などもあり地域医療をトータルで支えています。

 在宅部には医師、看護師、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、管理栄養士、相談員(ソーシャルワーカー)が所属し、他の部所のスタッフとも連携しながら、在宅で療養している人たちが安心して過ごせるように往診や指導に出向いています。

 管理栄養士の中村さんは、およそ70件の療養者宅をそれぞれ月に1〜2回ずつ訪問して栄養指導を行っています。狭い道が多く持ち物も多いので愛車の自転車は大活躍です。療養者宅に到着すると、昨日、今日と「何をどのくらい食べたのか」食事の聞き取り調査を行い、栄養のバランスをチェックします。動ける人は体重計を使って、動けないときには体脂肪計で、栄養分がしっかり血や肉になっているか、食べ過ぎてはいないかを判断します。そして、血液検査などのデータも加味しながら具体的な食事内容をアドバイスしていきます。

 在宅に出向くことで療養者やその家族がどのような環境の中で調理をしているのか、食事をしているのかを実際に確認することができます。そうすることで冷蔵庫などにあるいつもの食材をアレンジし、一人ひとりの療養者に合わせてその都度アイデアを提案できるのです。もちろん、家族が調理できる場合は家族に、ホームヘルパーが調理している場合はホームヘルパーに、そして本人にも食事のバランスや量について説明します。

 また、フードモデルを使い、どのようなものが体によく、どのくらい食べたらよいのかも目に見える形で理解してもらいます。食べ過ぎて余分なものが多い場合は物足りなさを感じないように、食が細く栄養不足の場合には少量でも栄養が十分とれるようにするなど、素材の組み合わせや調理方法を工夫していきます。そして、今までの食生活を大きく変えることなく、家にある材料を使って効果のあるメニューを提案し調理実習を行います。

 

 清さん(75歳)は嚥下障害があり食が細いため、栄養を補いやすいよう医師から胃ろうの造設をすすめられました。胃ろうを使うようになっても口から食べることは可能ですが、今のところ本人も奥さんも胃に穴をあけることには抵抗があります。

 栄養指導で清さん宅に伺った中村さんは、奥さんと相談しながら、今回はそのままでは飲みづらいと買い置きしたままになっていた流動食に卵と砂糖を加え、パンを浸してフレンチトーストを焼きました。その上に蜂蜜をかけることで風味も増し、牛乳と卵だけで作るフレンチトーストよりも栄養価がグンと高くなります。また、栄養補助食品やとろみ剤を使い、清さんの喉を通過しやすい軟らかさに調整したゼリー食を奥さんに説明しながら作りました。奥さんも最初の頃は失敗もあったけれど、今はフルフルのゼリーができるようになったと、タッパーに作りおきしている水分補給用のゼリーを見せてくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 栄養士の仕事は、病院や施設内でのメニュー提案や机上での栄養相談だけだと思われがちですが、在宅を訪問し実生活の中で調理実習を交えながら、一人ひとりの状態に応じた食生活の改善を具体的にアドバイスすることもあります。

 厚生労働省は糖尿病や腎臓病、肝臓病など栄養食事療法を必要とするいくつかの疾患や、嚥下障害の人などを対象とした訪問栄養指導を保険で受けられるように定めています。介護保険適用者の負担は1割の530円(医療保険の場合は1割負担の人で530円、2割負担の人は1,060円)です。こうしたマンツーマンの訪問栄養指導を受けてみたいと思う場合は、ケアプランに組み込んでもらえるかどうかなど、かかりつけ医や担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

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