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   介護レポート

 

Report 21  ★現場の知恵と創意工夫で食支援 

取材協力★京都まちづくり口元気塾「京都食支援勉強会」 

 

 芳枝さん( 88 歳)は、咀嚼(噛むこと)機能は十分にあり普通の食事がしっかり食べられるはずなのに、口を閉じてしまい食事をしてくれません。痴呆症のため、食べる方法を思い起こすことができないだけなのですが、このままでは体力が低下し、使える機能も使えなくなり、様々な病気にかかってしまうことが推測されます。

 老化による機能の低下や脳血管障害などの後遺症で食べることに問題がある場合は、食べやすい食形態を工夫したり、食べる環境を整えるなどの対応で解決できることも多いのですが、痴呆症の場合は「失認・失行」が原因で、食べ物であること、食べるという行為がわからなくなっていることもあります。「失認・失行」という特有の原因を見逃してしまうと、食べやすいように調理したのにそれでも食べられないと誤解し、「食べ物を口に入れない」「口に入れたまま飲み込まない」と、口から食べることをあきらめてしまうことになりかねません。

 食べる方法を思い起こすことができない場合は、食べる一連の動作のどこが抜け落ちているのかを観察しながら、足りないところを補ってあげることで、食事を継続することができます。

 食べるリズムが出るまでには時間が必要です。まずは声をかけ、体を動かすなど刺激を与えてしっかり目を覚ましてもらいましょう。顔面マッサージや口の開閉運動など、その人に適した方法で口を動かし唾液が出やすいように促すなど食べる準備を整えてから食事に入ります。

1.蒸しタオルで顔・手・首を温めリラックスしてもらいます。目鼻を中心にタオルを当てると、自ら頬を拭くなど協調運動が促せました。

2.食べる姿勢を整えます。重心のバランスに注意し、下半身の安定を確保するため、クッションを利用します。

3.食べ物をしっかり認識してもらうため、柄物の皿は避け、枚数は少なめにします。

4.手を拭き、箸を持ってもらいます。「おいしそうですね」と自ら食べることを促すように声をかけます。

5.しかし、お盆の上でおかずの移し替えをしているだけのようです。

 

 例えば、おかずが詰め込まれているお弁当のどこから手をつけてよいのか迷っている場合は、わかりやすいように皿に移し替えます。また、食べ物に手を付けなかったり、口に運ばない場合は、食べ物を口まで運ぶことを介助します。箸が口に行かないから手を添えるのではなく、食べ物を口まで介助し、噛むことを促し継続させるための一連の動作につなげていくのです。食べようとする本人のリズムや呼吸に合わせて、食べようとする意欲へと誘導していきます。

 噛むリズムを引き出すために形のあるもの、飲み込むことを思い起こしてもらうためにたっぷり水分を含んだものなど、一般的には嚥下障害の人に適さない食形態が適応する場合もあります。また、濃い味や冷たいものを組み合わせるなど味や温度の違いで反応し、食べる一連の動作が継続されやすくなることもあります。

 食後のケアも同じです。水を含んだり、ぶくぶくする機能はあるけれど、「失認・失行」が原因で、口の中をきれいにすることがわからないだけなのです。こうした場合も、一つひとつ声かけをしながら、足りないところを補っていきます。

 また、食べることに集中できる時間の目安は 30 分前後、長くても 40 分程度です。「味わう」「吸う」「あごを動かす」「噛む」という口の協調運動をしっかり観察して、集中力が途切れる前に、栄養必要量を口から摂れるように創意工夫していきましょう。

6.一口介助し、噛むことを促します。

7.食べることを思い出したようです。

8.止まってしまったら、また一口、介助します。

9.自分で湯飲みを持って、香りを楽しみながら飲んでいるようです。

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