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PureCommunications,Inc. |
介護レポート |
Report 25 ★栄養指導で食欲改善
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取材協力★在宅チーム医療栄養管理研究会
http://www.teameiyo.com
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事例1 食べやすさの工夫で
脱水症・低栄養を改善
梅雨が明け、暑い夏がやってきました。 B さん(78歳・女性・要介護4)は風邪をひいたのか微熱が続き、かかりつけの医師から「栄養と水分をしっかりとるように」と助言されました。やがて熱は下がりましたが食欲は戻らず、お茶碗1杯のお粥にのりの佃煮などを混ぜて食べるのが精一杯です。介護をしている夫(81歳)は「どうしたら食べてくれるのか」困ってしまい、ケアマネジャーに相談して訪問栄養指導を受けられるように手配してもらいました。
管理栄養士が食事の時間に訪問しBさんに声をかけると、口の中で噛みしめていたおかずのカスを吐き出しました。食べるのに時間がかかり疲れてしまったようです。エネルギーやたんぱく質など体に必要な栄養が大幅に不足している上、むせ込みもあり水分も飲みたがりません。このままでは「脱水症」を起こす危険性もありますが、夫は高齢で介護疲労もみられ、あまり負担を増やすわけにもいきません。
Bさんの体格では、1日にエネルギー1,300〜 1,400kcal、たんぱく質45〜50gを必要量の目安にしました。医師の指導で当面の食事形態はペースト食、水分の量は食事も飲み物も含めて最終目標を1日2,000ml とし、少なくとも1,300ml は下回らないという目標が立ちました。食事内容は食欲の回復に応じて、段階的に必要栄養量に近づけるプランを立てました。
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翌日も管理栄養士が訪問し、夫と一緒にペースト食を作り、量や加減などを指導しました。主食でもしっかり栄養補給ができるように、お粥には卵やスキムミルクを加えます。好みでみそや塩などを加えてもよいでしょう。おかずはミキサーにかけてペースト状にしますが、調理の手間を省くために主食は市販のさんま蒲焼缶などを利用して、少量の水とともにミキサーにかけます。ここに「とろみ調整食品」を加えると、さらになめらかになります。また、ゆで野菜にはんぺんと少量の水を加えてミキサーにかけるとムース状の副菜になります。ミキサーをかける時間がないときのために、市販のペースト食も紹介しました(牛乳を加えると高栄養のポタージュにもなります)。
Bさんが食べることに苦痛を感じないように、最初は1/2量を食卓に並べました。栄養が足りない分は、おやつの時間にも高カロリーのものを選んで食べてもらいました。また、水分は液体でなくても補給できるので、むせにくいゼリーやゼリー飲料をしばらく利用することにしました。
Bさんは1/2量の食事と十分な水分をとれるようになると、だんだん元気が出てきました。食べる体力がついてくると、さらに食事量も増え、飲み込みも楽になってきたようです。夏が終わる頃には以前と同じ食事がとれるようになり、水分を飲む習慣もついていました。
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事例2 大好物をきっかけに
食欲を取り戻す。
Cさん(85歳・男性)は脳梗塞で入院し退院してきましたが、今までのような食事を用意しても舌で押し返してしまい、ほとんど食べなくなってしまいました。以前は好き嫌いなく食べていましたが、今は 1 日おきの通院で輸液を必要としています。同居している娘さんは「少しでも口から食べさせたい」とケアマネジャーに相談し、管理栄養士が訪問することになりました。
娘さんからよく話を聞くと、入院中は 嚥下困難であるとも診断され、プリン型のムースのような食事が多かったようです。認知症も進行しているようで、食べ物であることがわからないような気がするともいいます。
まずは、C さんの好物を伺いました。大好物だったといううなぎをお粥になじみやすいようにみじんにたたき、三分粥の上にのせ、たれを多めにかけて混ぜ、「うなぎですよ。」と 声をかけて口元に運ぶと、口を開けて一口、二口と食べてくれました。大好物をきっかけに、食べることを思い起こしたようです。次は、少量のお刺身にしょうゆをまぶしてたたきにし、わさびの香りがわかるように口元に運んで「お刺身ですよ。」と声をかけると、自然に口が開くようになりました。このように昔からなじんできた好物をきっかけに、声をかけ見守りながら食介護をすることで、食べる品数も量も徐々に増えてきました。
また、食間、入浴・清拭の後など時間を決めて、栄養補助食品を利用し微量栄養と水分の補給を習慣にすることも試みています。その際、飲み込みやすいようにとろみをつけたり、ゼリー状にしています。このように口から食べる量が徐々に増えると、輸液の回数が減り始めました。
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他にもこんな例が…
Dさんも食事が進まず、このままでは口から食べられなくなってしまうのではないかと家族が心配していました。アルコールが好きだったDさんは、ワインゼリーのにおいと味がきっかけとなり、食事も水分もしっかり補給できるようになりました。他には、甘酒や酒まんじゅうの一口がきっかけとなったケースもあります。ただし、アルコールは傾眠状態にもなりやすいので、食べ過ぎや食べるタイミングも考慮しましょう。
E さんは一人暮らしです。配食サービスを利用していますが、「おいしくない」といって残してしまうことが多く、ケアマネジャーからの依頼で管理栄養士が足を運ぶことになりました。認知症もあり、食生活を把握しにくかったので、食事の時間に合わせて見守りを兼ねた訪問をしました。二人で笑いながら話しているうちに、いつも残していたはずのお弁当をペロリと食べてしまいました。一人暮らしの寂しさから、食が細くなっていた ようです。ケアマネジャーに報告し、まずは、仲間と食事ができるようにデイサービスに通えるケアプランに変更できないか要請しているところです。
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事例3 正しい知識と
介護者のゆとりで床ずれを改善
Fさん(92歳・女性・ 32kg)は1年前、 褥瘡(床ずれ)が三ヶ所もできていました。同居している娘さんは自然のままでという思いが強く、医師の有効な治療をすすめても拒否してしまいます。Fさんは低体重のうえ、わずかですが体重の減少が見られ、栄養状態を気にしたケアマネジャーから管理栄養士に栄養相談の依頼がありました。
娘さんは栄養指導どおりに実行しているといいますが、しばらくしても改善が見られないため、訪問中に実際の食事内容を記録してもらい、作り方・食べさせ方を教えてもらいました。メニューの内容は工夫されたものでしたが、食べ残しが多く、褥瘡を改善(傷口を治す)するための栄養は足りず、食事の量に比例して水分摂取量も十分ではありません。「母は自分の作ったものしか食べないし、年齢的に好きなものを少し食べれば・・・」といいながら、言葉の端々に介護負担を苦痛に感じている様子が伺えました。
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母親のために、母親の好きなものを手作りしていることは素晴らしいとたたえ、それに加え 栄養量をアップ することで褥瘡は改善し、Fさんの体の負担は軽減できると時間をかけて説明しました。そのためには「どんな栄養素が、なぜ必要なのか」をさらに知っていただきました。栄養を確実に確保できる濃厚流動食や栄養補助食品などを取り入れることもすすめました。徐々にですが娘さんの心もほぐれ、いろいろと試しながらの食事療法が進んでいくと、Fさんの体力は回復に向かいました。訪問看護でリハビリも受けるようになるとおやつの時間は座れるようになり、座位の時間も徐々に増えてきました。
高齢に加え褥瘡は時間が経ち困難なケースでしたが、一ヶ所は治り、残り二ヶ所も改善に向かっています。娘さんは食事作りに余裕ができ母親が回復してきたことで、1年前に感じていた介護負担による苦痛は感じなくなってきたようです。最近は、飲み込む機能が低下して食事の内容も変わってきましたが、母親の好きな味で濃厚流動食を加えたゼリーを用意したり、食べやすく栄養も考慮した介護用食品 なども取り入れて、おいしく、安全で、手軽な食事づくりを楽しくこなすようになりました。介護者の考え方や思いを知ることも、食事の見直しをする上で欠かせないことです。
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